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まの瀬『顔がこの世に向いてない。』

 新学期が始まって,落ち着かない日々が続きます.あっという間にゴールデンウィークが目前です.

 余裕のない毎日ですが,良い作品に出会えました.「ジャンプルーキー」から認められて本紙連載にデビューした,新進気鋭の漫画家,まの瀬『顔がこの世に向いてない。』(ジャンプコミックス・全3巻)には,本当に心打たれました.いわゆるラブコメで,少々誇張気味に描かれてはいるけれど,ルッキズムに痛めつけられ,自分を見失いそうになる関東地方の高校生たちが,必死になってもがきながら,自分の進むべき道,友愛と信頼を取り戻していきます.幼いが真剣な理屈っぽさが横溢していて,それがとても初々しく,愛おしい.主人公の少年がトンネルをくぐり抜けながらこれまでの経験を振り返り,人生の岐路に立ち向かう決断をする場面は圧巻でした.私は古い世代ですから,連想したのはアニメ『ホルス』の名場面「迷いの森」でした.誠実さ,志の高さ,品格が争いようもなくにじみ出てきます.まの瀬さん,どうもありがとう.このかわいらしい登場人物たちと共に,まの瀬さんがますます活躍されることを期待しています.