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琉球風「さくらさくら」

 コロナ感染で緊張に満ちた日々が続きます.次々と卒業入学に係わる行事が中止となり,ここが人生の大きな区切りとも記念ともなる若い方々にはお気の毒なことです.少しでも思い出になるよう教職員で工夫致します.
 感染の方はおさまる気配がありません.新学期も難しいことになりそうです.
 力を合わせて乗り越えていきましょうーーー.

 こんな時ですので,軽いお話をしましょう.
 授業では,言語テクストや絵や音楽を,漠たる印象からではなく,素材やデータに密着して具体的に分析することを勧めます.アダプテーションとか,文体模写だとか,絵画の構図の伝承とか.音楽だと,音階やリズムから構成されているものだけれど,これを入れ替えてみる実験をします.
 子供の頃私は,知っている曲の長調と短調を入れ替えて歌う遊びをよくやっておりました.演歌や日本民謡っぽい旋律を延々とでっち上げて歌い続ける遊びもやりました.誰でもやることだと最近まで思い込んでいたのですが,そうでもないのですね.「ゲゲゲの鬼太郎」や「森のクマさん」などの長調短調入れ替えた演奏例をYOUTUBEにアップしてくれている人が大勢いるので,それを紹介もしますが,なかなかこちらの説明にぴたりと使えるものがありません.
 一歩進んで,長調と短調だけでなく,小泉文夫の言う日本音楽の4つの音階を入れ替えてみる実験もします.

     日本音楽の音階-1.jpg

 小方厚先生が『音律と音階の科学』の中で「黒田節」の例を挙げておられました.日本音階の「転調」がある良い例です.私も授業で使おうとしたら,そもそも学生の皆さんは「黒田節」を知りません!「越天楽」ともつながりがあると言われる良い教材なのに.「君が代」も良かったのですが,壱越呂調にさらに音階にない音を入れ,ミクソリディアになっているらしく,扱いがややこしいので諦めました.
 仕方ないので,「さくらさくら」にしました.

    さくらさくら 4つのヴァージョン-1.png

 最初は教室に鍵盤を持ち込んだり,iPadにピアノ・キーボードのアプリを落として聞かせたりしていたのですが,隔靴掻痒でいらいらします.最後の手段で恥ずかしながら私自身が大声を張り上げて歌って聞かせています.
 ネウマ譜を見せながらグレゴリオ聖歌を実体験して貰う授業で,既に授業で自ら歌う前科はありますので,今更罪を重ねても恐くはありません.ただ,だんだん調子に乗ってきて,楽譜を見せながら音源を聞かせる時も大声で鼻歌を重ねてしまいます.「楽譜の解説はためになるのですが,音を流しているときの鼻歌は勘弁して下さい,音が聞こえません」と学生から苦情のコメントを貰ってしまいました.どうも申し訳ありませんでした,以後気をつけています.

 しかし琉球音階に「移調」した「さくらさくら」はいかがですか?この明るさ,伸びやかさ.そのままエイサーに繋がるでしょう.当たり前ですよね,同じ音階にしたんだから.

 明るい春や夏が来ますように.一生懸命準備します.