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久しく待ちにし

 ぼやぼやしていたら,もうアドヴェントの3週目が終わろうとしています。仕事は山ほどあるのに,バタバタするばかりで一つも片付きません。こんなことでは新年度が迎えられません!
 クリスマスの聖歌はどれも美しく,大好きなものばかりですが,アドヴェントと言えばもう,これです。本当にこの有様では,主よ疾く来たりて救わせたまえ,という気持ちで一杯です!

讃美歌94番


久しく待ちにし 主よ、とく来たりて,
み民のなわめを 解き放ちたまえ。
主よ,主よ,み民を 救わせたまえや。


あしたの星なる 主よ,とく来たりて,
お暗(ぐら)き この世に み光をたまえ。
主よ,主よ,み民を 救わせたまえや。


ダビデの裔(すえ)なる 主よ,とく来たりて,
平和の花咲く 国をたてたまえ。
主よ,主よ,み民を 救わせたまえや。


ちからの君なる 主よ,とく来たりて,
輝くみくらに とわに即(つ)き給え。
主よ,主よ,み民を 救わせたまえや。


 けれども教え子たちは,忙しがるばかりで無能で無力な私が心配などせずとも,しっかり皆様に愛され,助けてもらいながら,無事に進んでいるようです。そうです,そうですよね,そうでなければ!
 本当はこの「久しく待ちにし」は,原文ではもっと前向きな(?)調子なのです。旧約聖書イザヤ書7, 13-14 を踏まえ,救いの主,慰めの主,喜びの源はもう来られたから,喜べ,という歌です。
 人文社会科学の現状も未来も惨憺たるもので,どこにも希望はないようにすら見えますが,本当はもうどこかに解放の兆しが生まれているのだと信じましょう。さんざんに負の遺産しか押し付けてこなかった若い人々が,それでも,表向き「戦犯」の一味と言われても仕方ない私などを恨むでなく,罰当たりな罵倒をするでなく,自立して健気に生きて進んでいく様子を見ると,未来はここに生まれている,主はここにおられると,そう信じて,支援する以外に私などの生きる価値はないようにも思えます。


"Veni, veni Emmanuel"

1.
Veni, veni Emmanuel;
Captivum solve Israel,
Qui gemit in exilio,
Privatus Dei Filio.
Gaude! Gaude! Emmanuel,
Nascetur pro te, Israel!

来たれ来たれ,イマヌエル,
囚われのイスラエルを解き放ち給え,
捕囚に苦しむイスラエルを,
神の御子を奪われて。
喜べ,喜べ! イマヌエルが,
あなたのために生まれ給うた,イスラエルよ!

2.
Veni, O Jesse virgula,
ex hostis tuos ungula,
de spectu tuos tartari
educ et antro barathri.
Gaude! Gaude! Emmanuel,
Nascetur pro te, Israel!

来たれ,エッサイの若枝よ,
汝の民を,敵の鈎爪から,
地獄の眼差しから,
冥界の淵から逃れさせ給え。
喜べ,喜べ! イマヌエルが,
あなたのために生まれ給うた,イスラエルよ!

3.
Veni, veni, O Oriens;
Solare nos adveniens,
Noctis depelle nebulas,
Dirasque noctis tenebras.
Gaude! Gaude! Emmanuel,
Nascetur pro te, Israel!

来たれ来たれ,夜明けの君よ,
我らが慰めとなる方よ,
夜の霧をしりぞけ,
夜の闇を取り払い給え。
喜べ,喜べ! インマヌエルが,
あなたのために生まれ給うた,イスラエルよ!

4.
Veni, Clavis Davidica!
Regna reclude caelica;
Fac iter tutum superum,
Et claude vias inferum.
Gaude! Gaude! Emmanuel,
Nascetur pro te, Israel!

来たれ,ダビデの鍵よ!
天の王国を開き給え,
天に向かう我らの旅路を安らかにし,
冥府への道を閉ざし給え。
喜べ,喜べ! イマヌエルが,
あなたのために生まれ給うた,イスラエルよ!

5.
Veni, veni Adonai!
Qui populo in Sinai,
Legem dedisti vertice,
In maiestate gloriae.
Gaude! Gaude! Emmanuel,
Nascetur pro te, Israel!
Amen.

来たれ来たれ,アドナイよ!
シナイの民に
天上から掟を授けた方よ,
栄光と尊厳の中で。
喜べ,喜べ! イマヌエルが,
あなたのために生まれ給うた,イスラエルよ!

アーメン。

 コダーイが編曲した美しい混声三部合唱版で聞きましょう。それにしても,イギリス人でもドイツ人でもフランス人でもなく,ハンガリー人がこの聖歌の編曲の決定版を作ったのは興味深いことです。

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