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オペラ『カティリナの謀叛』

 モーゼル『サリエリ伝』の講読会を始めて,もう150回ほどになりました.ようやく全体の三分の二まで進みました.様子は逐一若い同僚がレポートを公開してくれています.

https://twitter.com/SalieriSeminar

http://blog.livedoor.jp/salieri_seminar/

 先頃読み進めていて驚いたのですが,当時売れっ子の詩人・オペラ台本作者のカスティ(Giambattista Casti 1724 -1803)が台本を書き,サリエリが『カティリナの謀叛』(1792)をオペラにしているらしいのです.サリエリの生前にはとうとう上演されなかったようで,作品一覧にも載っていない場合があります.ペトルッチのサイトにも楽譜があがっておりません.You Tubeで探すと,それでも序曲が聴けるから大したものです.
 なんでもカティリナはテノールで,キケロはバスだそうです.カティリーナ事件の時の執政官で,事件の解決に功あったキケロがこのオペラに出るのは当然です.当然だとは思いますが,哲人政治家・演説家のキケロがアリアなんぞを歌い上げるというのはなかなかイメージが湧きません.
 歌うキケロですよ.是非聴いてみたいものですが,楽譜さえ手に入らないので,手も足も出ません.楽譜が手に入った暁には,必ずコンピュータ音楽で再現して,シェアしますね.約束します.

 ゲーテの『若きウェルテルの悩み』が,19世紀後半のフランスの大人気オペラ作曲家ジュール・マスネ(Jules Emile Frédéric Massenet, 1842 - 1912)の手でオペラになっているのも驚きでした.とはいえ,いくら古臭いストーカー文学作品であっても,一世を風靡した「恋愛文学」ではあるので,「タイスの瞑想曲」みたいな音楽が付いても違和感はありません.
 キケロはどうでしょう.昔の人は,サルスティウスの作品さえ,文学作品として読み,オペラにしたときのイメージが思い浮かべられたのですね.「誤解された形式」の最たるものです.

メル・ボニスの「パヴァーヌ」

 19世紀半ばに生まれた才能ある女性たちの中に,当時はまだ「女性がなるものではない」とされていた作曲家として苦闘し,せっかく業績を上げながら,正当に評価されないまま埋もれていた一群の人々がありました.これらの作曲家の作品について,ペトルッチで楽譜を見ることができ,YouTubeでたやすく音源に触れられるのは、本当にうれしいことです.シャミナード,メル・ボニス,エセル・スマイス・・・.一人ずつ大切に学んでいきたいと思います.しばらくメル・ボニスに取り組みます.

手始めにPavane (1909)を編曲してみました:
https://youtu.be/HkKsR0UUTVk