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難読フラクトゥーアおさらい

 サリエリ資料が(200年前の二次文献だから,史料と呼んでも良いような気もします)フラクトゥーアなので,難読文字のおさらいをしておきます.分野よっては常識ですが,私なんか今でも引っかかります.

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 余り知られていないことなのですが,フラクトゥーアにもたくさんの書体の違いがあるだけでなく,今日でも新しい書体が作り出され,売られているようです.上の図は,小文字の方は Latex の textfrak で作ってみました.大文字の方は IME で使える Fraktur JS というフォントで作りました.小文字の s はもちろん語頭・語中形です.

 1回読み取りを間違えると,存在しない単語を探してグリムの辞典までひっくり返したりし,時間を無駄にします.

 しかしこんなものは苦労の数に入りません.
 留学中にラテン古文書学の授業を覗いたときに,この分野で一番難しいのはローマのクルジーヴェ書体で,余りにも読解がつらいため,この分野を学んだ者は,初対面でも「クルジーヴェ!」と言い合うだけで苦労を分かち合え,友達になれるのだと教えて貰いました.

 けれども私には日本語の草書の方が何倍も難しいーーーというか,手も足も出ません.古文書の話ではありません.字がきれいだったという祖母の手紙がそもそも読めませんでした.とうになくなりましたが,祖母が書いてくれたのは現代日本語です.