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松月堂の「うにごはん」

 あっという間に7月になってしまい,締め切りに追われています.本日の夕食はお土産に頂いた,一関松月堂の「うにごはん」でした.蒸しウニがたっぷりのっていて,付いていたお漬物も量が物足りないくらい美味しく,忙しいときに幸せな食事でありました.
 ところで,初めて包み紙をしげしげと眺めていて,不思議なことに気づきました.

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 お分かりいただけたでしょうか.どうやらタイ語が書かれています.タイ語はずっと昔に挫折したままなので,意味も分からず,音にもできず,テクストの内容から,タイ語だけが選ばれてここに印刷されている理由を推測することもできません.でも,「うにごはん」と書いてあるだけなんですかね.きっとそうなんでしょうね.
 中身が美味しいだけでなく,包み紙でも楽しませてもらったひとときでありました.

frangoという動詞

 サンスクリット語における動詞の現在組織の10類のうち,第7類に分類される動詞は「挿入類 infigierende Klasse」と呼ばれ,語根の語末子音の前に,系統を同じくする鼻音を挿入して弱語幹を形成します.rudh- → rundh「妨げる」,yuj → yuñj-「繋ぐ」,bhid- →bhind-「裂く」.サンスクリット語ではこのように文法化されていますが,このような造語法は古く遡るらしく,ラテン語にも何語が残骸があります.frango → fregi「砕く」,fundo → fudi「注ぐ」,relinquo → reliqui「残す」,rumpo → rupi「破る」,vinco → vici「勝つ」.
 この奇妙な造語法が昔から気になっていました.特に g→ngの「挿入」は論外で,これは別の音韻になる変化です.どうやらこれは,鼻音を「挿入」する変化なのではなく,語末子音を「声門閉鎖」によって,韓国語に言う「濃音」にする変化,その名残ではなかったかと思います.「無声音・声門閉鎖音・帯気音」の対立が,印欧語の最古層における破裂子音の区別であろうというマルティネの推論に合致するものです.とはいえ,こんなことはとっくに歴史言語学の世界の常識で,不勉強な私だけが知らなかったことかもしれないと恐れます.
 こんなことを考えていたのは,fragileという形容詞にこだわっていたからです.語源を確認するために,スマホのアプリ版のGeorgesの羅独辞典を調べると,驚いたことにfrangoが出ていない.探し回ったら,単なる誤植で,fragoという見出し語になっていました.スマホのアプリ版のGeorgesは,1869年の初版が元になっているので,そちらも確認しましたが(この手の本は現在ネット上でいくらでも閲覧可能なので!),ちゃんとfrangoになっていました.これはスマホのアプリ版の単純なミスです.「挿入類」であるがこそのミスだと思うと,なんだか可笑しくなりました.

やまみちゆか『クラシック作曲家列伝』

 ピアニストでイラストレーターのやまみちゆか『クラシック作曲家列伝』(マール社,2021.7)が届きました.

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 今年の3月に『ぼく、ベートーヴェン』(カワイ,2021.3)が出版されたばかりです(すぐ買いました).やまみちゆか氏は,ツイッターで今までとは違う親しみやすい感覚で作曲家たちにアプローチした作品をたくさん発表していて,本にまとめられるのを楽しみに待っておりました.
 亀『レキアイ!歴史と愛』vol.1&2(星海社COMICS,2018-19)で描かれている作曲家たちも気に入りましたが,やまみちゆか氏の描くブラームスなども新鮮でした.もっともっと描いてもらいたいと思います.

「山田五郎 オトナの教養講座」

 とうとう7月も終わりになってしまいました.ようやくワクチンの一回目を受けたばかりです.パソコンに向かいきりで仕事をして,休憩にはYouTubeのお気に入りのチャンネルを視聴します.YouTubeが無かった時代には想像も付かなかったほどいろいろな音源や、音楽学・音楽史の解説を視聴できることに感激して何年か過ぎました.今ではもっと利用方法も分かってきて,理科系の解説番組,怪談,動物動画や料理番組なども楽しみます.
 
 「田舎そば川原」さんのチャンネルには登録して,紹介されるいろいろな料理,特にお漬物は参考にしています.うちでも人気です.インドのおじいさんとかイタリアおばあさんの料理チャンネルも楽しい物です.
 
 鈴木貫太郎氏や迫田昂輝氏,川端哲平氏などの数学チャンネルもよく観ます.若い優秀な先生たちが,きびきびと難問を解説していく様子が,昔自分が受けた予備校の授業を思い出させて懐かしくもあります.中学入試の問題でも半分くらいしか自力で解けません.これほどできない人間ですが,理科系のチャンネルはどれも面白く,興味が尽きません.

 一番のお気に入りは,山田五郎氏の「山田五郎 オトナの教養講座」という美術史のチャンネルです.一本ずつ楽しみながら観ています.既に23万人以上の登録者がいて,今更私が紹介することもない人気チャンネルです.昔から語り口が好きだったのですが,ますます良い感じになられたように思います.こんな風に教養や学識,知見を発信していける人を尊敬します.

 とっちらかった私の興味関心に引きずり回されて,AIも混乱しているらしく,紹介してくるチャンネルがでたらめになります.確か、わざとそういうことをしているその方面の専門の先生がおられたように思いますが,私は期せずしてそうなりました.AIの「天敵」でしょうか.