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法隆寺写本の年代

 私の『サンスクリット語文法概略』の目次の余白部分に,少しくらい画像を入れようと,法隆寺「貝葉教」として伝わる『般若心経』と『仏頂尊勝陀羅尼』の画像を載せ,「最古の梵字写本」と書いておいたところ,佛教大学仏教学部教授の松田和信先生から,ご親切に連絡を頂き,現在のインド仏教研究の水準から見ると,あの法隆寺写本は最古ではない,「書体から判断して9世紀頃の北インドのブラーフミー文字で、しかも文字も稚拙でインドで作成されたものではなく、中国か日本でインドの写本に似せて作られたもの」であり,サンスクリット語写本は現在では「紀元2-3世紀の貝葉写本」,ガンダーラ語写本なら「紀元1世紀の樺皮写本が発見」されていると,ご教示下さいました.専門の先生から直接教えを頂いた上,関連の御著書(奈良康明・石井公成(編)『新アジア仏教史05 中央アジア 文明・文化の交差点』「第3章 中央アジアの仏教写本」2010,佼成出版社)の美しいコピーまで御恵贈頂き,本当に感激しております.
 松田先生,ありがとう御座いました.学生たちには早速伝えておきます.(御著書の方を拝見すると,法隆寺写本は貝葉ですらないようです.)得がたい体験で,教え子にはうらやましがられています.