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三宅先生最終講義

 詳細が詰められていない状態で申し訳ありませんが、三宅晶子先生の最終講義と懇親会について取り急ぎご連絡いたします。講義題目と懇親会費等については,追加でお知らせいたします.

【最終講義のお知らせ】
2020年3月31日をもって退職される文学部国際言語文化学コースの三宅晶子先生の最終講義が下記の通り行われますので,是非ご参加ください.

日時:1月28日(火) 16時10分~17時40分
場所:千葉大学文学部棟1階 102講義室
題目:未定

最終講義終了後,18時30分より,千葉大学西千葉キャンパスけやき会館1階レストラン「コルザ」にて,三宅晶子先生を囲んで懇親会を行います.懇親会に参加希望の方は,下記の問い合わせ先までご連絡をお願いいたします.

お問い合わせ先:石井正人教授(文学部国際言語文化学コース長) mishii@faculty.chiba-u.jp

三宅先生最終講義 詳報(題目確定)

【最終講義のお知らせ】
2020年3月31日をもって退職される文学部国際言語文化学コースの三宅晶子先生の最終講義が下記の通り行われますので,是非ご参加ください.

日時:1月28日(火) 16時10分~17時40分
場所:千葉大学文学部棟1階 102講義室
題目:ドイツはホロコーストをどのように想起しているか 戦後ドイツの「想起の文化」と日本、そしてベンヤミンの「想起」

想起の文化 最終講義2019.jpg

最終講義終了後,18時30分より,千葉大学西千葉キャンパスけやき会館1階レストラン「コルザ」にて,三宅晶子先生を囲んで懇親会を行います.懇親会に参加希望の方は,下記の問い合わせ先までご連絡をお願いいたします.

お問い合わせ先:石井正人教授(文学部国際言語文化学コース長) mishii@faculty.chiba-u.jp

三宅晶子先生 有り難う御座いました 

 昨日1月28日(火),三宅晶子先生の最終講義が行われました.雨の降る中,卒業生や学生が多数聴講に来てくれ,三宅先生の教育者としての人望と成果を伺わせるものでありました.皆さん,有り難う御座いました.三宅先生,有り難う御座いました.

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 3月に公表される文学部の紀要に,三宅晶子先生の経歴・業績表と並び,僭越ですが私が送別の辞を書きましたので,その部分だけ下に引用致します.

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三宅晶子先生を送る

石井正人

 三宅晶子先生が定年退職されることになりました。実に38年にわたって千葉大学に在職され、教育・研究・管理業務・社会活動において多方面に優れた業績を上げてこられました。三宅先生がご活躍になったこの年月のうち、たまたま筆者は30年ほど同じ組織に属し、お近くで働く栄誉を得られましたので、僭越ながら研究部門を代表して一言お別れと御礼の挨拶を申し上げます。

 三宅晶子先生はその研究活動を、現代思想に大きな影響を与えたが、博識な上に難解な議論で有名なヴァルター・ベンヤミンの著作を精密に読み解く研究から始められ、ベンヤミンの考察対象となり、ベンヤミンの思想を生み出すに至った20世紀前半のドイツ語圏の文化と社会を、様々な文化的・思想的・政治的諸潮流が交差・衝突する動態において比較文化的に考察する事へ研究を進められました。またファシズムに飲み込まれ行く同時代に警鐘を鳴らし続けたベンヤミンから学び、現代日本の、特に教育が抱える焦眉の問題について積極的に考察と発言を行いました。これらの研究業績については、筆者ごときが解説をする必要はありません。この文章末に掲げます三宅先生の業績目録をご覧頂きたく思います。

 三宅先生の在任期間は、まさに大学制度が大きく変わる時期でありました。その中で三宅先生も筆者も担当する第二外国語教育も、語学・文学研究という枠組みも、抜本的な改革を迫られました。第二外国語教育や、外国語・外国文学研究の特性と経験の蓄積を生かし、現代的な高等教育の新しい使命に応えるために、様々な方向が模索され、それぞれに豊かな成果をあげています。
 このような、戦後日本大学史の歴史的流れの中で、三宅先生が人文科学の研究と教育における現代的課題として先見性をもって見通し、志を同じくする教員たちと協力して推進したのは、多言語教育を基礎にした、比較文化研究・表象文化研究であり、国際日本研究でありました。
 「比較は研究にあらず」というテーマで論文をお書きになる先輩教授も確かおられたくらいで、まだまだ比較・学際・超域研究に対する不信や反感は強かった時代だったと記憶しています。三宅先生にとって平坦な道のりではありませんでしたが、比較文化研究は今や千葉大における人文科学の研究と教育の大きな柱の一つにまで成長しました。せっかく大事に育てられた比較文化研究と教育も、昨今の厳しい予算と人員削減の中で、思うように成長し続けられない苦しみがあります。三宅先生がここで千葉大を去られるのはさぞ心残りのことと存じますが、幸いにも若い研究者の方々が比較研究の精神を受け継いでいくことと思います。

 個人的な話で恐縮ですが、三宅晶子先生は学部・大学院を通じて筆者にとって近い先輩に当たります。三宅先生が優秀で研究者としてのキャリアを最速で駆け上って行かれるのに対し、筆者などは不出来で回り道をしていたために、学年差が大きく開き、三宅先生と机を並べたことがなく、三宅先生についてはただ優秀な先輩として伝説だけを伺っておりました。よもや千葉大で同僚となるとは思いませんでした。
 30年以上前のことです。外国語・外国文学研究の分野は比較的女性が多かったとは言え、まだまだ女性の研究者が大学にポストを得るのは難しい時代でした。その中で、三宅先生も含めて突出して優秀な女性の院生が3名、立て続けに大学の専任教員に決まり、今はもう亡くなった主任教授がとても喜んでいました。
 その後も問題は続きます。結婚しても、なお仕事を続けていく。旧姓を使い続け、業績の連続性を確保する。子どもが出来たら、産休育休を取る。今となっては当たり前に行使できるこれらの権利や制度も、当時はまだ理解が低く、制度も不備でした。三宅先生はいわば第1世代として、その一つ一つの権利を自分自身の問題として切り拓き、闘い取ってこられたのです。あの頃事務部の幹部や年配の男性教授がこういう問題に対してどういう発言をし、どういう対応をしたか、筆者も傍にいて克明に見聞する機会を得ました。決して忘れることなく、教え子の女子学生諸君に語り使えております。

 時代が与える課題を全身で受け止め、どこまでも力の限りそれと格闘する―――三宅先生の研究と教育はそのようなものであると、不肖の後輩は三宅先生の後ろ姿を見ながら思います。このような研究と教育の在り方に、定年や引退のありえよう筈もなく、どこかでさらにご活躍が続き、その雄姿を目にするものと、筆者は信じて筆を置きます。

 三宅先生、長い間ありがとうございました。
 お元気で。